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ベネッセの情報流出とマーケティング

ベネッセの情報流出 マーケティング

ベネッセの情報流出とマーケティング

 

 

ベネッセの情報流出とマーケティング

ベネッセ個人情報が流出して、ジャストシステムに渡っていたのはニュースなどでご存じでしょう。 ここでは、事件性の問題ではなく、やはりビジネスモデルからのマーケティングとして重要なのは、リスト(名簿)なんだなということが確認できました。

 

というのも、WEBがらみの場合はマーケティングに関しては勘違いがよくあります。 例えばSEO業者。被リンクやコンテンツだの色々ありますが、ちゃんとビジネスモデル的にリストの管理まで考慮されている業者かどうか? これはプロを選ぶときにとても大切な基準です。

 

検索順位に一喜一憂して、最新情報を元にGoogleの顔色をうかがいながらウェブマスターツールをチェックする。 まぁSEOとしては正解でしょうが、ビジネスモデルとしてはSEOなんて多くの選択肢の中野1手段でしかありません。 PPC(リスティング)広告、ソーシャルだろうとも同様です。

 

逆に、細部の数字は多少悪くても全体のビジネスモデルに貢献してることほど、長期的には大きな利益と安定をもたらしてくれるからです。 具体的には、検索順位が低くてもリストが多く集まる方が利益が大きい、ということです。

 

 

さて、今回は個人情報流出で派遣社員が逮捕されたベネッセ。 個人的には、個人情報の流出を防ぐのは困難なので、正直気の毒な気持ちの方が大きいです。組織が大きくなればなるほど、関わる人間が多くなります。 データ管理の場合は、たった1人。絶対数で1人の悪意でなんとでもなってしまうからです。

 

「個人情報を集めている会社」のようにネガティブイメージで伝えられることもありますが、集めているのはその通りでしょう。 しかし「個人情報を集めない」というのは経営視点からもマーケティングの観点からもあり得ないでしょう。 文化祭の模擬店でもない限り、名簿管理はするものです。

 

このような事件はマスコミに流されるときには、名簿管理からのDMは特にネガティブに伝えられる気がします。 理由はかんたんで、DMで商売をやられたら広告枠が売れないからです。

 

既存の顧客や見込み客などの名簿管理などをしない。 そして毎回新規の顧客を取り続けるために広告費を使ってもらった方が、マスコミ的には望ましいからです。

 

逆にマーケティングを軸に考えれば、ビジネスモデルとしてさっさと名簿を作って、広告に依存しないビジネスモデルと作るのが経営者の仕事です。

 

 

ベネッセの業績

で、ぶっちゃけベネッセは儲かってるのか? つまり名簿で顧客管理をしてセールスをしている会社は結果を出しているのか?

 

ウィキペディアを見ると、売上高は連結:4,663億99百万円。

でかいです。儲かっています。 利益も、資産も豊富です。順にデータを示しますが、どんどん規模も大きくなっています。

 

  • 純利益 連結: 199億30百万円(2014年3月31日現在)
  • 純資産 連結: 2,151億9百万円(2014年3月31日現在)
  • 総資産 連結:4,875億94百万円(2014年3月31日現在)

次に、業績は上向きなのか、下降気味なのか?  これは、EDINETに提出された有価証券報告書一覧(HTMLのみ) https://kmonos.jp/ufo/9783.html を参考にしています。

 

●50期(平成16年・2004年)~59期(平成25年・2013)の売上高

  • 50期 260,142(百万円)
  • 51期 291,403( 〃 )
  • 52期 333,766( 〃 )
  • 53期 354,595( 〃 )
  • 54期 384,514( 〃 )
  • 55期 412,711( 〃 )
  • 56期 406,602( 〃 )
  • 57期 412,828( 〃 )
  • 58期 423,706( 〃 )
  • 59期 450,182(百万円)

 

このようにベネッセは儲かっています。 もちろん今回の被害でちょっと業績は下がるでしょうが、個々までは非常に安定した売上げと利益を記録しています。 この10年で倍近くに売上げを伸ばしているのですから驚きです。 とても魅力的なビジネスモデルであると言えるでしょう。

 

念のためにもう一度書いておきますが、個人情報を使って儲けやがって!とか、そういうことではなくて、しっかりとリストマーケティングをやっている会社はきっちり結果を出している。 今回の契約社員の転売がなければ、なんら問題がないのです。

 

また、マーケティングの話になると専門外はわからないとばかりに逃げてしまう広告代理店が多い中、事実としてしっかりとリスト管理している企業の事例としているだけです。 自分ができるできないではなく、プロならばやるべき事はなんなのか?ということですね。

 

 

ベネッセの情報流出とマーケティング

 

DM費用と広告宣伝費

驚異の安定した成長を行っている企業は、どのような広告宣伝で集客し売上げを上げているのでしょうか? また、DMといっても、どのくらいの予算を割いているのでしょうか?

 

上記の資料から、「ダイレクトメール費」と「広告宣伝費」を抜粋して推移を比較してみます。

 

  • 53期 ダイレクトメール費 27,157(百万円)、広告宣伝費 13,819(百万円)
  • 54期 ダイレクトメール費 27,345( 〃 )、広告宣伝費 13,474( 〃 )
  • 55期 ダイレクトメール費 28,495( 〃 )、広告宣伝費 14,741( 〃 )
  • 56期 ダイレクトメール費 30,340( 〃 )、広告宣伝費 13,207( 〃 )
  • 57期 ダイレクトメール費 28,268( 〃 )、広告宣伝費 11,344( 〃 )
  • 58期 ダイレクトメール費 31,887( 〃 )、広告宣伝費 12,015( 〃 )
  • 59期 ダイレクトメール費 31,575(百万円)、広告宣伝費 12,418(百万円)

これで分かるのが、DM費用はアップしていますが、広告宣伝費は削減されています。 収益をもたらしているのは、新規客のための広告よりも、既存客(見込み客)へのフォローということがよくわかります。

 

ベネッセ発表のデータによれば、201年の会員数は、45,512(千人)ですが、 2014年は、42,677(千人)と減少しています。少子化で子どもの人口が減っているのでこれは仕方ないのかもしれません。

 

しかし【「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」月平均学費(各年3月期)】では、2010年は3,754(円)、2014年は、3,827(円)とアップしています。  参考:ベネッセの会員数推移

 

つまり、会員数は減っているが、学費自体はアップしています。 別コースやオプションなどを用意したのでしょう。 予測できる会員数減少に対して、客単価のアップで業績を伸ばしています。 ほかにも海外進出や会員サイトなど 業績をあげるべく将来の手も打っているのはすごいことです。

 

 

話を戻して広告費の変動は、郵便料金はそれほど変わらないけど、マス広告とネット広告(PPC・リスティング)では、ネット広告の方が圧倒的に安く済みます。 そのために無駄なTVCMなどからネット広告に移行したのではないでしょうか。

 

ちなみに、ベネッセがネット広告を始めたのは2003年(49期)頃から。【当時は、『しまじろう』など必要最低限のキーワードだけ】からスタートし、【運用中のキーワードも約2万4千ワードまで増加】※2011年当時 Yahoo!スポンサードサーチのベネッセインタビューより。http://promotionalads.yahoo.co.jp/service/casestudies/srch/benesse01.html

 

このインタビューからもわかるように、マス広告をどんどん減らしてPPC広告を増やしているんですね。 しかしそれ以上に、名簿へのダイレクトメールでマーケティングに力を入れていることがわかります。

 

つまり、ベネッセのようにうまくいっている企業は、やはり顧客リストを軸にビジネスを組み立てている、ということです。 今回の個人情報流出に対しての対策が必要でしょうが、マーケティングとしては教科書通りと言える施策だと言えます。

 

 

また事件発覚後、夏休みの各種イベントも中止になりました。 基調としては素早い対応です。 で、私たちが学ぶべき事は、見込み客はイベントで集めている。ということが分かります。 マス広告を出せる企業が、あえて泥臭いリアルイベントを選択しているわけです。

 

イベントが大好き!というよりも、ちゃんとマーケティングができているため、ビジネスモデルレベルで、見込み客&新規客を名簿化し、フォローによって利益をたたき出す仕組みができているから。 だから、いろいろな広告やイベントを開催できるわけですね。 集客して終わり、ではなく集客はあくまで入り口の1つでしかないわけです。

 

もし、名簿化する仕組みがなければ、広告を出し続けて集客するしかありません。 しかもそのお客さんは取引が終わったらお別れです。 効率よく利益を出し続ける企業がこんなミスをしません。 広告をだして集客するだけでは、穴の空いたバケツに水をいれるようなものだからです。 そりゃたまらんわ。

 

 

まとめ

契約社員の犯罪により流出してしまいましたが、個人情報を利用しているベネッセは、すばらしい業績のビジネスである。

結果を出しているベネッセは、新規の集客よりも、まず名簿の個客にコストをかけている。ということです。

 

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