効率が悪そうなのに効率的で高利益!「玉子屋」

玉子屋 ビジネスモデル

お弁当の玉子屋

いままで日本一の弁当屋といわれる玉子屋を知らずに、のうのうと生きてきたのがくやしいくらいです。 たまたま意味なく早起きしてしまった朝のワイドショー「スッキリ!」だったかな?で紹介されていたんです。まぁ有名な事例らしく、ネットでは10年くらい前の記事も出てきます。

本当にこんなビジネスができるとは正直驚きですが、すでに前例はある。ということで私たちのビジネスにも大いに参考になる事例です。

1日6万食でも廃棄率0.1%

実はテレビの特集の後半ででてきたのですが、この廃棄率0.1%というのが響きましたね。 ぶっちゃけビジネスの効率化を進めていけば、犠牲を払いつつ儲けることは資本があればできること。 でも廃棄率0.1%なんて聞いたことありません。

一般的な弁当の廃棄率は5%くらいでしょうか。 まぁコンビニ弁当なら添加物で期限を延ばせば伸ばすほど賞味期限が延びるので、宅配弁当で考えるとあり得ない数字です。 日本は世界一の食品は位規律を誇る恥ずかしい国ですが、現実的にやむを得ないのが現状。

一般的には5%程度といわれますが、1日6万食でも廃棄率0.1%とは・・・ 世間のプロがお手上げなのに。 これだけ聞くと悪いことをしているとしか思えませんw

450円の日替わり弁当で原価率は50%程度

450円という安い弁当にもかかわらず、原価率は50%と公式ページに書かれています。 私は素人なので基準がわからないので調べてみると、船井総研のコンサルタントの先生いわく、

【原価率が包材込みで45%くらいになっています。原価でこのくらいかけてしまうと、どうしても営業利益を出すのが難しくなります。】

とのこと。【日替わり弁当の利益率って?】

【お弁当のこだわり】のページを見るに、とても粗悪で安い材料ではないようです。 つまり、良いモノを提供していて原価率が高いってことですね。

注文数は毎朝きまり、弁当箱はリターナル(回収)

1日6万食で、1か所10個から。 こうなると次ごとの予約で・・・ と思ったら、毎朝注文を受け付けていました。 それも80名のオペレーターが。 うそだろ!? つまり、毎朝つくる個数が決まるなんて、ほとんど罰ゲームだろう。

弁当が多すぎるってことはないでしょうけど、足りなかったらどうするのか?ランチ時間に間に合うのか? とか考えると、眠れない夜が続きそうなオペレーション。 まったく効率的に思えません。

そしてリターナル(容器を回収)。 これも頭おかしいんじゃないかな?と思うくらいです。 しかも配達は同じエリアに2便が基本。行き2便に引き取り1便でしょうか。 1度に運んだ方がコストは絶対に削減できますよえ。

リターナルってことは、夕方くらいにもう一度配達先に行くわけです。 餃子の王将の持ち帰りで1つ10円ですから、使い捨ての容器なんて安いでしょう。 回収となると、配達に2倍のコストがかかるようなものです。 それも洗浄するわけですから、手間でしょう。

部分最適化ではなく「系」

特徴を部分的に見れば、効率がわるく合理的とはいえません。 が、トータルで業績は良く、いわゆるライバルと比較にならないモラルの高さ(食品は位規律の低さ)、高い存在意義(ビジネスとしての成功)を実現しています。

だったら、もっと効率化をすれば・・・ と思いますが、たぶん「系」のバランスが崩れてしまうんでしょうね。歴史と実績があるからには、相当の経験値の中で選択しているはずです。 近視眼的に部分最適化を行っても全体最適化にならないという好例でしょう。

原価率は50%

原材料や弁当のこだわりを見て、普通に食べたくなる、安心して食べられる製造をしていると感じられるクォリティです。 質を下げて原価率を下げたら、受注数も下がるでしょう。するとルート配達の人たちの待遇は悪くなり、客先での対応もぞんざいになり・・・という悪循環もあり得ます。

ちなみに弁当を作ることができるスピードは、1時間に7000個。 そのため、放送時に1000個の不足がありましたが、15分程度で準備できていました。なんとも余裕なオペレーションです。

2回配達

弁当の注文数が確定する前に1便が出発。 後発の1便が、過不足の調整をしています。 そのため大量の弁当数にもかかわらず、ランチに遅れることなく配達できていました。

これは想像しやすいですね。 注文数を確定してからの1便に減らしたら、配達員の時間的余裕は確実になくなります。 時間に追われているので事故の原因、事故はなくても乱暴な運転、弁当のぞんざいな扱いなどもあるでしょう。

そう考えると、限られた時間の中ではじめから2回配達するというのは、極めて合理的なのかもしれませんね。

リターナル

たぶん使い捨て弁当パックの方がトータルで安いはず。 でもあえてリターナル(弁当容器の回収)にしているのは、とても強力な強みを生んでいました。

回収時に弁当の食べ残しをチェックしているのです。 もちろん人にも感想を聞いていましたが、食べ残しが多かったらそれはイマイチだった証拠ですね。

つまり手間のかかる弁当箱の回収は、顧客の実際の反応をチェックするための大切な仕事の1つだったわけですね。 これによりメニューを変えたり、これは推測ですが週間ごとのバリエーションも決めているかもしれません。

これぞ「人にフォーカス」かつ、人を見た後に適切な対応をとれることで、どんどん仕事のクォリティがアップし、業績も勝手に上がってしまったのでしょう。

もしコスト優先で使い捨てにすると、このビッグデータよりも価値のある目の前の顧客の行動という情報を得ることができなくなってしまうわけですね。

人事評価

年2回のボーナスをけっていするには、3か月。 それも400人にも及ぶ、お客さんと接するスタッフと面接をするそうです。菅原勇一郎社長は、「これは自分の大事な仕事」とのこと。結局、組織はトップで決まるんでしょうね。

まとめ

ずいぶん前から有名だったんですね・・・ それがまだ続いているとは・・・ ビジネスってちゃんとやればちゃんと結果になるって実例ですね♪

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