倒産まであと半年――老舗旅館「陣屋」

旅館 お手本の事例
借金10億円、倒産まであと半年――創業100年の老舗旅館「陣屋」をたった3年でV字回復させた方法
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1810/01/news008.html
V字回復の決め手、自社開発のクラウド型旅館管理システム「陣屋コネクト」が、日本サービス大賞の総務大臣賞を受賞!
なんてのはちょっとマネできないですけど、経緯ってとても参考になるのではないでしょうか。

経営破綻するパターン

顧客情報

4代目の女将が経営を引き継いだとき顧客情報も営業情報も分からなかったそうです。
まぁ営業していれば勝手にお客さんがきてくれていれば、顧客の管理なんて必要ありませんよね。
コカコーラが私のことを知る必要もないのと同じです。
でも旅館とコカコーラはまったく違うわけで、当然お客さんが減っていくと。
なぜ当然なのかといえば、新たな旅行客はネットを検索するからですね。

ネット対策

Webページも貧相だったため、当時増えつつあった個人旅行者へのアプローチもできない状況
今や【旅館業におけるIT化のお手本】と言われてるそうですが、ダメなときは完全に時代に遅れをとっていたんだとか。

原価管理

食材費や人件費を月単位で管理していたため、指数を知りたくても、翌月末にならないと数字が出てこない。
来月になって、赤字だったね。とか分かるわけですね。
しかも月単位なので、良い日や悪い日の把握も難しいと。
とうぜん、月末まで人件費もわからず固定費もどんぶり勘定。
でも昔はこれで大丈夫だったのでしょうね。

安売りより価値上げ

こんな状況を把握してからとった対策がおみごと。

高単価(付加価値)

割引クーポンなどで安くしていたのを廃止。
単純に部屋数が限られているのに、単価を下げれば売上の上限もさげますよね。

なので価格を下げるのをやめて、価値を上げる方向へチェンジ。
宿泊費の目標を、3倍の3万円にまでアップ!

 

貴賓室

ちょっと高めの高級室を一般客にも開放。
この部屋、明治天皇のためにつくられて、将棋のタイトル戦の対局場所にもなる「貴賓室 松風」というんだそうです。

この最高級の部屋でのオペレーションを確立し、ノウハウを一般室の接客へとシェアするようにしたんですね。

 

従業員がいても、無駄が多い。こういうことってよくありますよね。

これまで陣屋のパート従業員は、それぞれ「布団敷き」「部屋への案内」「見送り」といった単体タスクのみをこなす形で、リソースの使い方が非効率かつ柔軟性がない状況だった。

 

この無駄をなくす目的として、オペレーションも変更したんですね。

貴賓室については、チェックインから見送りまでの全てを1人で担当してもらい、スタッフのマルチタスク化とレベルアップを図った。

 

専門の担型をやめて、一人が全体を把握するという方法。
この仕事のやり方って、スタッフの脳力を一気に上げるときによく使われる方法ですよね。

部分最適化ではなく、全体最適化ができるようになりますからね。

 

現場の改革

IT化

従業員にはタブレットを配布。

お客さまの基本情報や好物の料理、食べ物のアレルギー情報といった情報を入力

パートでも売り上げや原価が分かる経営レポートから、会社の預金残高すら見ることができる。

とにかく情報格差をなくして、情報や経験が1人の中で埋もれてしまわないようにこころがけたそうです。

 

すると現場の担当者に指示を待つことなく、受付から指示をだす必要もない。
誰でも知っていれば、自ら行動するってことですね。

接客係も清掃係もお客さまの情報が見られるので、自分から動く。『このお客さまはいつもゴミ箱をここに置いているから、あらかじめ動かしておこう』

 

リストラ

リストラはしないと決めていたが、こうした方針に合わなかったスタッフが陣屋から離れたり、高齢のスタッフが引退したりして、パートの人数は少しずつ減っていった。

会社や組織の方針をハッキリすると、リストラしなくても自然に辞めていく。
高齢のスタッフは仕方ないとしても、合う合わないがありますからね。

 

まとめ

倒産寸前の旅館が業務を改善してV字回復!

  • ずさんな管理は経営を圧迫
  • 安売りより価値をアップ!
  • 価値を提供するために効率化

もっとも、歴史があって価値がある部屋があったり、経営者が優秀だったりいろいろな特徴があります。
逆に言えば、こんなに価値があってもやり方を変えなければ倒産だったわけです。

 

いろいろと学びが多い事例ですね。

 

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